癒や詩コーナー


キス

君の寝顔を初めて見ました

まるで体の大きい子供でした

すべてを投げだしてきれいでした

あどけない表情は自然を彩る

草花のように清らかでした

大地にしっかり体をあずけて横たう

つる草のように

あなたは眠りをむさぼっていました



思わず



その花のつぼみにキスをして

しまいました



眠りを妨げられて目を開けたあなた

朝露につぼみの扉を叩かれて

「バッ」と花が咲いたようようでした

初めて空気にふれた花のように

驚いていましたね



安心が徐々にあなたの顔を柔らげ

とても美しい表情に変ったのを

はっきり

覚えています







ちょっと開けば あなたの人生に 花が咲く かも

「ぼくひとり」   第一詩集より



保育園の遊戯室が広くなった

テレビの音が大きくなった

オルガンも積み木も欠伸をしている


おかあさーん早くむかえに来てー

って言いたいけど・・・・我慢する

(誰よりも早くむかえに来たい)

母さんの気持 知ってるもん

お母さん ぼくのために

一生懸命 働いているから


みんな帰ってしまった

ぼく ひとり

でも・・・・・・・でも

平気だーーーーーい




みんないい人 (母に捧げる詩) 2004年カレンダーより


母が昔
こんなことを言っていた

「いろいろ仕事をしてきたけど
出会った人がみんないい人ばかりで幸せだった」と

小学校の教師 居酒屋店主 中洲のクラブ
幼稚園の先生 経営者 保育園等々 
何度も仕事を変え 現場を変った母が「みんな いい人ばかりだった」
と言い切った


「本当だろうか」


人間不信に陥いっていた私は
母の言葉が信じられなかった


母の周りの人達を見た いじ悪そうな人 悪口をいいそうな人
わがままなひと....
いい人と思える人はほんの一握り


でも
その人達が母に会うと
「みんないい人」になっている

花を見ているとき
人の心は美しくなると云うけど
母はみんなの「美しい心」「いい心」を
引き出しているのだろうか

人の何倍も仕事をかわり
多くの人と出会いだまされ うらぎられ
いじめられ
人の何倍も苦しんで
きたはずだ


そんなとき
「本当はみんないい人なんだ」
って自分に言いきかせて
いたのだろうか


多くの人に親しまれ
愛されている母
「みんないい人」をつらぬいて
生きてきた
母の笑顔が
今日も輝いている


私も母に見習って

「みんないい人」






2004.6.9 西日本新聞 夕刊記事より


「神の子」


ぼくの名は岩見次郎十七歳 身長115cm 体重14kg 

ぼくは話すことができない

ぼくは歩けない 食べたいものも食べられない 言いたいことも言えない 

したい事も出来ない 行きたい所へも行けない ぼくは人の手を借りて生きている

ぼくにはまったく自由がない ぼくは生まれるとき へその緒が首にまき付いて 

仮死状態になった 脳性麻痺の重度障害になった 

ぼくの弟も生まれてすぐ重度の障害児なった

母は三人で死ぬ事を考えていた 

生きていても迷惑ばかりかけている ぼくは 死んでもいいと思った/

弟は八歳で死んだ ぼくは何のために生まれてきたんだろう 

生きていく意味があるのだろうか

九歳になって交流という形で小学校に行けるようになった 

にぎやかな声を聞くのが楽しかった 優しく声をかけてくれるのが嬉しかった

マラソン キックベースボール等何でもした 

体が動かないぼくのために交代でバギーを押して走ったり 

キックベースボールは蹴った後 十数秒えてボールをとるルールを作ったり

みんなでどうすれば ぼくが参加できるか考えてくれた

ぼくは以前よりたくさん笑顔を作れるようになった 

ぼくが生きている意味を小学校のみんなに教えられた 

多くの人にぼくを見てもらうことだ

ぼくを見て下さい/

自分の手を使って物を食べられないぼくを見て下さい/

食べたい物 飲みたい物を自由に口に運べる喜びを感じて下さい/

しゃべれないぼくを見て 

自分の気持ちを自由に伝えられる言葉を持っていることに気付いて下さい/

動けないぼくを見て走り回れる足を持っていることを知ってください/

骨と皮のぼく 

よだれをいつも流しているぼくを見て 

普通の体を持っている喜びを感じて下さい/

ぼくの存在で 

みんなが普通に生きていられる幸せを感じてくれれば 

ぼくは嬉しい
 

(自作詩「神の子」)


あるコンサートで次郎君と出会った「何のために生まれてきたのか」と
心で問いかけた。
たくさんの言葉が私の中で生まれてきた。
次郎君の声を必死で書きとめた。
次郎君との交流が多くの人たちに生きる喜びを
与えているとご両親の言葉に私はうなずいた。

以下、山本よしき 詩集 カルテットより


成功したい人はこちら

成功の秘訣(絶対成功する方法)

私はこうやって成功しました
私はこうやることが成功する方法だと
思います
私は私は・・・

百人の成功者が
千人の講師が
道を説く
頂上から見下ろして
登ってくる人達に
道を教える

しかし誰ひとりとして
同じ道を歩いて成功した人はいない

十人十色 百人百様
成功者の話を取り入れても
人の道は人の道でしかない
自分に道を作るしかない
成功者の道が成功への道ではない

道はいくつもある
自分の道を自分で拓き
自分で築きながら歩かねばならない

深い谷もあろう
超えられない岩壁もあろう
道に迷って同じところを歩くかも知れない

歩かねばならない
頂上をめざして
歩かねばならない

そこに成功の絶対の秘訣が
あるとすれば
それは
途中であきらめないことである
『成功するまでする』ことである

「えっ ばかにするなって?」
「ごめんなさーい」

恋をしている人はこちら

つい

つい
言ってしまうんです
心と反対のことを

つい
してしまうんです
心と反対の態度を

つい
顔に出すんです
心と反対の表情を

神さまわたしの[つい]を取って下さい。

あの人が好きなんです


叱られた人はこちら

叱られた君へ

研き粉があるから物が光る

研いてくれる人がいるから
人間が光る

嫌な人は
みーんな研き粉

だから研き粉に
ありがとう

管理職の人はこちら


ピエロが笑った
客は笑わない
下手な演技におこっている


ピエロは練習した
必死になった
客を笑わせるために
毎日汗を流した


だけど客は笑わない


ピエロは最後の舞台にかけた
客が笑わなかったら


止めるつもりで
「どうか笑って下さい」
ピエロは祈った


悲しくなって涙がこぼれた
おかしな顔が
涙にぬれて
少し可笑しくなった


客が笑い始めた


ピエロの顔に涙があふれた
客の笑い声が嬉しくて・・・


おかしな顔が
ますます可笑しくなった


客が大声で笑っている
ピエロは泣いている
泣きながら
泣きながら
必死で演じている


客が大声で笑っている

七輪を知っている人はこちら

「七輪おこさなバーイ」
「ハーイ」
語尾の下がる重たい返事をする私


新聞紙を丸め
小さく割った薪を乗せる
マッチをする
点火


新聞が命を得たように背伸びする
赤茶けた炎が
私の心わ彷彿とさせる


なんとも言えない快感が走る(異常?)


炎が薪をくすぐる
薪は怒ったように青黒い煙を出す


小さな煙突をかぶせ
炎を助ける
居古地な薪は笑いとも泣き声ともつかない
声を出して最後の抵抗をする
私は煙をあびて
薪のかわりに泣かなければならない


炎が煙を支援したころ
豆炭をジュウノウに乗せ
炎にかぶせる
煙突から今度は真っ黒な煙が登る


しばらくして
豆炭も抵抗を止め
煙が消える


煙突を取ると
沈みかけた太陽の子供が
七輪の中に生まれている
いくつも いくつも
笑っている


「七輪おこしたバーイ」
幼い頃の私の日課がひとつ終わった




戻る
次へ





inserted by FC2 system